チャンピョン

  • 2017.07.11 Tuesday
  • 20:00

先日の土曜の集いで紹介したお話から。

作家の大江健三郎さんのエッセーにこんな話があります。若い時、お兄さんが古本屋で英英辞典を買ってきてくれたそうです。英語の単語を英語で説明している辞典です。嬉しかった健三郎さん、まさに読みふけり食事の時間にも遅れてしまうほどだったそうです。

兄さんが「何か面白い言葉を見つけたか?新しい言葉というのではなく、言葉の説明が面白いやつだ」と言ったのだそうです。そのとき、大江さんがお兄さんに言ったのが、この辞書に載っていた「チャンピオン」ということばの定義でした

 「ある人のために代わって戦ったり、ある主義主張のために代わって議論する人」大江さんは、こう記しています。「ぼくはこれまで、チャンピオンという言葉から、大切なことを他の人の代わりにやる役目を思いついたことはなかった。しかし、この説明に何かしっくりするものを感じた。」というのです。そしてお兄さんが癌で闘病して亡くなる前に知人に「〜のことは弟に託す。彼(弟)はぼくのチャンピョンだから〜」と言ったそうです。大江さんは、お兄さんがあの時の話をずっと覚えていたのだなと思ったそうです。

 

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普通私たちは、「チャンピョン」というと何をイメージするでしょうか?スポーツや何かの競技で勝利した人のことを思い浮かべますよね。一般的には勝利者という意味でのみ使われているような気がします。

でも「ある人のために闘う」「大切なことを他の人のかわりにする役目」という意味もチャンピョンという言葉の定義にあるのならChampionはひとりだけではないのかも。一位になる人だけがチャンピョンでそれ以外の人は敗者・・・という構図とはまた違った新しい世界が見えてくるなぁと思いました。


 

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